「成長を出し続けられるビジネスパーソンを目指して」⑤

2019年07月22日 松尾 規子

みなさま、こんにちは。キャリアコンサルタントの松尾です。今回は動機に伴い「行動を習慣化させていく」すなわち、キャリアコンピタンシーを獲得するための4段階についてお話をして行きましょう。

早速ですが、仕事で新しい課題を与えられた場合に、中にはそれが本来の自分の「動機」にないと感じた経験はありませんか。1日中「動機」にないことをしていると、人はストレスを感じます。会社など組織で仕事をされている方は、人事異動があり、組織内で仕事は自分の「動機」と100%合うものばかりではないことも経験されていると思います。そのような状況は、多くの方がご経験されているように、強い意志と努力によって、新しい能力を習得し、カバーしていく必要があります。

この本来の自分の動機にはない新しい能力開発のために行動を習慣化していくことが重要であり、そのためには4つの階段を経る必要があると言われています。それでは、慶応義塾大学SFC研究所の高橋俊介特任教授の「行動を習慣化させる4つの段階」を事例にお話を進めていきましょう。

① 無意識無能

「ある能力」がないということに気づいていない段階を言います。例えば、伝達力が強く理解能力の弱い人に「人の話を聞いていない」と指摘しても「そんなことはない」と言い張ります。しかし、実際には周りの人はそう思っています。このような段階が「無意識無能」に該当します。

② 意識無能

「無意識無能」の段階の時に、自分自身で何が不足しているのか気づくことは困難です。そのため、多面評価やフィードバックなどの第三者からの支援が必要になります。こうした第三者からの支援を得て、「無意識無能」に人がある能力が不足していることを理解している段階が「意識無能」に該当します。

③ 意識有能

人は自分自身にある能力が不足していることで、それを解消するための行動を起こそうとします。その結果、練習や勉強などを重ねてスキルを身につけることで、やればできる状態になります。この段階が「意識有能」に該当します。

④「無意識有能」

「意識有能」で身につけたスキルは本来その人の「動機」にないスキルであるため意識して毎日行っていかなければ習慣化されません。

「動機」にないことほど継続していくには努力が必要になります。また、人からの手助けも必要になるでしょうか。このようにして、地道にコツコツと継続をしていくことで、「無意識有能」の段階になり、行動は習慣化されることになります。こうした自分の動機に弱い面も意識し、習慣化していくことは非常に重要です。

とかく人は動機にあった自分の強みや勝負能力を持って、自分らしいキャリア形成をしがちです。これ自体は間違いではありませんが人間としての成熟度をより高めるためには「動機」の強い面と弱い面の両面を意識することが必要です。

特にリーダーとして成功するには、仕事上、本来の自分の「動機」にないことに対しても新しい課題への取り組みと成果が求められます。そのため、これまでの自分の強み、弱みをバランス良く、捨てたり、変えたりさせるなど自分自身を成長させ続けるために努力をしていくことが重要です。

さて、ここまで5回にわたり「成長を出し続けられるビジネスパーソンを目指して」というテーマでお話を進めてきました。

自律的なキャリア形成というととにかく若年層等の現役世代に目が行きがちですが中高年世代に目を向けることも重要です。中年の危機とも言われるように50代に差しかかろうとするバブル世代では全体的に仕事観が希薄で保守的になる傾向がみられます。

一方、この世代では、まさに自分の社内での立ち位置(役職定年など)、セルフプランニンングや、マネープラン、定年後の働き方、仕事観と提供価値の主体的定義をやり直す時期でありこの時期は個人の感覚と環境が求めるもののギャップが大きく、中年の危機といわれるほど職業人生において変化が大きい時期といわれています。

そのため、組織として学びなおしのキャリア形成を支援していく必要があり、学びなおしを受け入れるためにも、個人のキャリアコンピテンシーは重要となります。

このように自律的キャリア形成は世代を問わず重要なテーマであり、改めて、一人ひとりが、「どう働きたいか」を考え、自分らしいキャリア、自分らしい仕事のあり方を見つめなおす必要があります。

最後にキャリア形成には「勝つ負け」はありません。どういったキャリアがじぶんにとって「勝ち」なのかは一生わからないからです。しかし「幸せなキャリア」、「不幸なキャリア」はあります。それは「自分が今の仕事に納得できているかどうか」をもって判断することができるからです。

今日のように変化の激しい時代において「働きがい」、「やり甲斐」を向上させていくためには自分にとって何が「幸せ」なキャリアなのかを考えることが重要です。本連載を読んで下さいました皆さんのこれからのキャリアを考えるきっかけになればと思います。

<この連載は2016.3.13 3.27@河合塾KALS大阪校でのセミナー講話内容に加筆修正した内容です>

                   

松尾 規子

2003年関西大学社会学部卒業。大手損害保険会社勤務。公益財団法人日本女性学習財団キャリア支援デザイナー。国家資格キャリアコンサルタント、CDA、 JCDA治療と仕事の両立支援促進(大阪府担当)NHK「日本新生」の出演や中央職業能力開発協会(JAVADA)フロントライン、古事記の口語訳(エッセー風)など執筆。現在、研究活動の幅を広げパラレルキャリア構築中。http://www.javada.or.jp/mm/fr_20170417.html