「成長を出し続けられるビジネスパーソンを目指して」④

2019年06月10日 松尾 規子

みなさま、こんにちは。キャリアコンサルタントの松尾です。今回は前回からの続き、自分らしいキャリアを自律的に形成していくために必要となる、3つの要件の3番目についてお話しましょう。

3番目の要因。それは、健全な「仕事観」です。

 想定外の環境変化を主体的に乗り切り、自分らしいキャリアを導くには自分の仕事観は重要です。「仕事観」とは、自分が仕事をしていく中で「何を大事にしていきたいか」を意識しながら仕事に取り組むことです。

この意識を持つことで、想定しない変化に直面したとしても、自身の立ち位置が明確となっていることから、キャリアを再構築する事ができます。自分らしいキャリアを自律的に形成していく上では、「自分らしさ」の基本となる「動機」を知り、これをうまく生かしていくことが重要です。

 そのためには常日頃は自分が意識をしてはいない仕事についての「動機」について、いったい自分はどの分野に強いのか、逆にどの分野に弱いのか知る必要があります。当然ながら一人ひとりの「動機」に良し悪しなどありませんので、この「動機」をどのように活かし、自分らしさや仕事の満足度を高めることにつなげていくのか重要になります。

さて、この動機の種類は次の3つに区分することができます。

①コミットメント系の「動機」

これは何か成し遂げることを積極的に関与していく動機であり、「達成動機」、「影響欲」、「賞賛欲」、「闘争心」などが挙げられます。リーダーになる人に強い動機です。この動機は、それ自体は仕事を進める上で必要なものですが、それが強すぎると、自分が持つ「動機」を過度に正当化し、他人にまで当てはめてしまいがちになります。

 このことから、コミットメント系の動機が強い人はその力を間違って使ってしまう懸念があるため、自分自身をチェックし、「動機」を客観的にコントロールする力が求められています。

②リレーションシップ系の「動機」

これは人間関係に関する感情的な部分での「動機」であり「社交欲」、「理解欲」、「伝達欲」、「感謝欲」などが挙げられます。この動機は「相手の気持ちを理解したい」、「自分の知っていることを伝えたい」などコミュニケーションを重視します。

 この人間関係に関する「動機」はこれだけを重視してしまうとただの「良い人」になってしまうため、この動機を生かし、なんらかの成果を生み出していくことが必要となります。

③リレーションシップ系の「動機」

これは何らかの目的のためではなく、思わずのめりこんでしまっている状況を作ろうという「動機」であり「抽象概念思考」、「徹底性」、「切迫性」、「自己管理欲」などがあります。この動機が強すぎる人はのめりこんでしまうが故に時にマイナスに働くことがあります。例えば、切迫性の高い人は焦らされるのを嫌うため、仕事を依頼した場合に急かしがちになります。

一方、依頼した相手が、「切迫性」の低い人だった場合には、急かされることで不愉快と感じてしまうことでしょう。

 例えば、営業という仕事で例を出して見ましょう。同じ営業の仕事であっても達成感を感じたいという欲求(達成動機)の高いひとであれば、高い目標を持つことで、人から認められたい、感謝されたいという欲求(感謝欲)の強いひとであれば、一生懸命顧客のリクエストに応えることで、やる気とやり甲斐が変わってくるのです。このことから、自分のやる気とやり甲斐を高めるには自分の動機をヒントに自分がやる気になる、またはやり甲斐を感じる「コツ」を知り、仕事の「捉え方」とやり方を変えることが重要です。

ここまで、3つの動機づけを見てきました。それでは一体「何が人を動かす」のでしょうか。皆さんを行動に突き動かすのは何でしょうか。

仕事をしようと突き動かすもの、いわゆる内的動機づけの見えない力によって、人が「動機」にドライブされて能力を発揮している時には、ストレスを感じることなく、仕事に専念できるためそれがその人の仕事をする上での「勝負能力」になります。「勝負能力」を複数身につけることができれば、環境変化への対応もより可能なものとなっていくでしょう。

 「勝負能力」は、一つの仕事を一つのやり方の意で継続しているだけでは、身につけることはできません。

新しいやり方、新しい課題、新しい仕事に常にチャレンジし、試行錯誤を繰り返す中で、「意外にも自分にはこのような才能があったのか」と気づいて初めて身につくものです。この「勝負能力」を複数持つこととは、言い換えればキャリアコンピタンシーとも言えますね。

この「何が人を動かすのか」というテーマについては、アンソニー・ロビンズ氏のTED2006「何が人を動かすのか」も参考になると思います。

次回はキャリアコンピタンシー獲得の4段階について、お話を進めて行きます。<この連載は、2016.3.13 3.27@河合塾KALS大阪校でのセミナー講話内容に加筆修正した内容です>

松尾 規子

2003年関西大学社会学部卒業。大手損害保険会社勤務。公益財団法人日本女性学習財団キャリア支援デザイナー。国家資格キャリアコンサルタント、CDA、 JCDA治療と仕事の両立支援促進(大阪府担当)NHK「日本新生」の出演や中央職業能力開発協会(JAVADA)フロントライン、古事記の口語訳(エッセー風)など執筆。現在、研究活動の幅を広げパラレルキャリア構築中。http://www.javada.or.jp/mm/fr_20170417.html