理想の従業員との関係とは~宮田運輸さんの紹介~

2019年05月22日 河原 哲史

今回は従業員のモチベーションを上手に引き出して、生産性をアップさせている会社をご紹介したいと思います。

ご紹介する会社は、大阪府高槻市に本社がある宮田運輸さんです。知人の紹介で、“従業員のことをとても大事にして、事業を成長させている社長さんを知っている”と聞いて、宮田社長に直接お会いし話を伺ってきました。

現在の経営方針に変えたきっかけ

宮田運輸さんは従業員約300人を抱えて、西日本を中心に、中部、関東エリアにも営業所を展開している運送会社です。宮田社長さんは子供の頃からトラックが大好きで、大人になったらトラックを運転して全国を走り回るのが夢だったそうです。そして、高校を卒業するのと同時にお父様の会社に入社し、2012年に4代目の社長に就任されました。会社は右肩上がりで成長を続けており、社長就任後、先代社長(お父様)を超えようと必死で、来る仕事は拒まず、がむしゃらに頑張っていたそうです。そんなとき、会社のドライバーによる死亡事故という、とても悲しい出来事が起きてしまいました。そんな状況の中、謝罪以外に何かできないか考えた結果、これまでの経営の在り方を真逆に変えたそうです。

中央は宮田社長、左側は宮田社長を紹介してくれた山田さん、右側は筆者

これまでは会社の方針や目標を、従業員に伝えるだけでは、従業員はやらされ感になってしまう。また、宮田社長自身も18歳からドライバーの経験あるので、ドライバーと手段の議論になると結局、従業員の方が折れる形となり、やる気を失ってしまう。そこで、宮田社長は次の様に考え方を変えたそうです。

・全ての従業員に良いところがあると信じる(信じるという覚悟)
・従業員と心と心で接する
・従業員がいいところを発揮できないのは会社のせい
・従業員がやる気を出して頑張れる環境や、機会を提供するのが経営者の役割

方針転換された当時は、その考え方になかなか馴染めない従業員もいたそうですが、それも受け入れる姿勢を持ち続けたそうです。ある時、3名の方が退社したのですが、後になって2名の方が戻ってきた、ということがあったそうです。

とてもユニークな定例会議

また、とても興味深い取組みをされているのが、毎月行っている定例会議です。宮田運輸さんでは「みらい会議」と呼んでいて、日曜日開催の為、従業員の参加は強制ではなく自由参加です。また、驚いたことに社外の方もオブザーバーとして参加が可能ということです。そこで、実際に5月19日(日)に行われた「みらい会議」に参加させてもらいました。

「みらい会議」が開催された立命館大学茨木キャンパス

当日の参加者は、社員の方が約50名、社外からは私含めて10名の方が参加していました。社外の方にも報告書が配られて、業績をそのままオープンにされています。午前中は各営業所毎に10分間程度で、目標に対する実績、また、気づいた点などを順番に発表していきます。どこの会社にもある実績報告会議なのですが、発表者の方が主体的に取り組んでいるという姿勢が伝わってきました。目標に到達していない項目もあるのですが、それについて周りから責められる様な雰囲気は全くなかったです。

各営業所の発表が終わるごとに、参加者からの質疑応答と、宮田社長からのコメントがあります。素晴らしいと感じたのは、まず事業所の実績や、無事故を続けていることなど、いいところをみんなの前で褒めて、そして「何か困っていることはないか?」という問いかけを、頻繁にされていました。まるでお父さんが子供のことを心配して声を掛けている様な雰囲気を感じました。

宮田社長いわく、経営方針を転換し、業績も従業員にオープンにすることで、単に数字を追うのではなく、チーム全体で個々がチームの目標に関して何が出来るのか、自発的に考える様になったということです。

選ばれる会社になる

宮田社長がコメントの中で良く言われていたのは「人を選ぶ会社ではなく、選ばれる会社になる」という言葉です。運送業界は、ご存知の通り人手不足が特に厳しい業界で、そんな状況の中、事業を発展させていくには、「選ばれる会社」でなければいけないという思いが、伝わって来ました。

今回ご紹介した宮田社長の従業員への関わり方は、これからの時代の会社の存在として、あるべき姿を示してくれていると思います。きれいごとに聞こえるかもしれませんが、経営者が従業員の幸せを真剣に考えるということ、そこがスタートだと思います。それぞれの従業員に対して、心と心で接するという気持ち、そして、全ての従業員に必ず良いところがあると信じる覚悟、人を預かっている経営者として、とても大事なことだと思います。

こどもミュージアムプロジェクト

今回の記事では紹介できませんでしたが、宮田運輸さんでは、交通事故を無くすために、トラックの背面にこどもの絵をラッピングして走る「こどもミュージアムプロジェクト」という活動をされています。現在では、実際に車を運転している人が、トラックの子供の絵を見たときと、そうでないときの脳に与える刺激について、検証実験も進んでいるそうです。詳しくは下記のリンクに書かれていますので見て頂ければと思います。
http://www.kodomo-museum.jp/

今後もこのような形で、実際に働き方改革に取り組んで実績を出している会社を紹介していこうと思っていますので、楽しみにしてください。もし、こんな活動や取組みをしている会社があるという推薦も大歓迎ですので、連絡をお待ちしております!

河原 哲史

大学卒業後、大手自動車部品メーカーに15年間勤務し、その後、外資系自動車関連企業、海外現地法人(ドイツ在住)、個人事業主など様々な仕事を経験。そして、これまでのキャリアをもとに2017年7月キャリアコンサルトとして会社を設立。設立後1年間で22社の企業に対しセルフ・キャリドックを実施。その他、企業の採用代行業務、有名私立大学・私立高校にて学生への就職相談。また、自分自身のキャリアを基にした講演会も行っている。 https://career-ct.com/