「成長を出し続けられるビジネスパーソンを目指して」③

2019年05月14日 松尾 規子

みなさま、こんにちは。キャリアコンサルタントの松尾です。平成もいよいよ終わろうとしていますね。平成の30年間は今では当たり前のように使っているパソコンや携帯電話が、手書きの書類や固定電話から取って代わり、私たちの仕事のも大きな変化があった時代です。

IOTだけではなく、AIの台頭など今日のように変化が激しい時代において、自分らしいキャリアを自律的に形成していくために必要となる、3つの要件についてお話しましょう。

1)目標よりも習慣 

 キャリアはとはなんだろう?このキャリアというものを自分のデザインした通りに形成していくことは困難です。

 そのため、将来の「目標」を立てることよりも、良い仕事のやり方、良い学び方といったことを「習慣」として続けていくことの方が、より自分らしいキャリアを形成していく上で重要になります。これは、前回にお話をした「本人主義」の新しい見方とも言えます。この良い仕事のやり方について、慶應義塾大学のSFC研究所キャリア・リソース・ラボトリーでは次の10個をあげていますので、みて行きましょう。

まずは<主体的ジョブデザイン行動>と呼ばれるものです。

①自分の価値やポリシーを持って仕事に取り組んでいる。

②社会の変化、ビジネス動向について、自分なりの見解を持っている。

③部署、チームを超えて積極的に周囲の人を巻き込みながら仕事をしている。

④仕事の進め方や、企画を立てる上で、今までの延長線上のやり方ではなく、自分なりの発想を持ってと取り組んでいる。

⑤自分の満足度を高めるように、仕事のやり方を工夫している。 

次に<ネットワーキング行動>

⑥新しいネットワークづくりに常に取り組んでいる。

⑦自分のネットワークを構成する個々人が、どんなニーズを持っているか把握し、それに応えようとしている。

⑧自分の問題意識や考え方を社内外のパーソンに共有をしてもらうようにしている。

最後に<スキル開発行動>

⑨今後どのようなスキルを開発していくか、具体的なアクションプランを持っている。

⑩スキル・能力開発のために自己投資をしている。

いかがでしょう。この10項目は企業内で、年度毎の上司との面談や人事面談において、自分自身の業務の振り返りの際のポイント項目にもなります。この項目は簡単にセルフチェックができますので、ぜひ一度ご自身のキャリアについてもこの項目に沿って考えてみてください。

2)普遍性の高い学びの能力

これは前回お話した、キャリアコンピタンシーや「計画的偶発性理論」の考え方に通じるものです。

想定外の環境変化が起こり得る時代には普遍性の高い学びの能力が重要となります。

変化が常に小さい時代には、一つの仕事を生涯にかけて習熟し続けることが大切となります。例えば、昔であれば大工さんの職業は生涯を通じてずっと習熟し続け、ラーニングカーブは一本の上昇曲線になるでしょう。

これに対して、変化が中位の時代ではどうなるでしょう。例えば工業化社会の中でピラミッド組織における末端の仕事は比較的単純化されるため、ラーニングカーブは比較的早めに立ち上がりますがすぐに伸びなくなります。

しかし、そのピラミッド組織の中で徐々に後輩を指導し、部下をマネジメントするようになる、あるいは、組織全体を管理し会社戦略などを考えるようになります。このように役割が課せられ段階的に変わっていくのが「変化中」のラーニングカーブです。

この時代にはキャリアには大きな環境変化が何度も起きますが、その変化はいわば想定内であり、先輩や上司のキャリアを見ていれば、想像はつくものでしょう。ここで重要なことは今までの経験は意味がなくなるのではなく、その上に積み上がっていくことです。

ところが想定外の環境変化が起こり得る「変化が大」の時代のラーニングカーブはノコギリの刃のようになります。つまり、ある程度まで早く立ち上がりますが、途中で変化が起きて、それまでの仕事とは一見無関係な仕事に就かざるを得なくなります。

その結果、これまで積み上げてきた、知識やスキルが一見意味のないものに見えてしまいます。これを繰り返していくのが変化大のラーニングカーブです。

ラーニングカーブがノコギリの刃のようになると、毎回一番下まで落ちていっては大変なことになります。このために変化に直面した場合にもこれを乗り切るためには、変化によっても使えなくなる能力(専門的な知識)ではなく、どこにでも通用する普遍的な能力を身につけておく必要があるのです。

この普遍的な能力は、物事を表面的に学ぶ人は身につけることができません。物事の基礎理論をしっかり学び、自分でも考えることをする人しか、どのような環境変化が起こっても対応できる普遍的な能力を身につけることはできません。

<この連載は2016.3.13 3.27@河合塾KALS大阪校でのセミナー講話内容に加筆修正した内容です>

松尾 規子

2003年関西大学社会学部卒業。大手損害保険会社勤務。公益財団法人日本女性学習財団キャリア支援デザイナー。国家資格キャリアコンサルタント、CDA、 JCDA治療と仕事の両立支援促進(大阪府担当)NHK「日本新生」の出演や中央職業能力開発協会(JAVADA)フロントライン、古事記の口語訳(エッセー風)など執筆。現在、研究活動の幅を広げパラレルキャリア構築中。http://www.javada.or.jp/mm/fr_20170417.html