ニート、ひきこもり経験者の現状とその関わり方について

2019年03月01日 榮 俊哉

皆さんの周りに心理的要因で会社に来られない方たちはいらっしゃいますか?
何か力になりたくても、医学・心理学の知識がなければ見守ることしかできない場合が多いのではないでしょうか?
心理的要因で会社を辞めざるを得なかった方々が、なかなか次の就職が決まらない現状がまだまだあります。企業側ばかりに責任を押しつけられません。今回はニート状態の方やひきこもり経験者の現状、関わり方について紹介いたします。

自己肯定感とは

ニート状態の方の特徴

これまでの経験から、ニート状態の方の特徴として、仕事に就いていない状態でもあり、“自己肯定感”が下がっています。一人でハローワークに行って就職活動ができる方と違い、本当に大人しいです。自己申告によるアンケート結果を見ますと、殆どの方が“自己肯定感”の欄に印がつき、自身に自信がもてない現状を見ることができます。

そもそも自己肯定感とは何?

辞書には「自己を肯定する感覚」とありますので、「自分は大切な存在だ」と感じる心の感覚と理解できます。故に、自己肯定感が高いと、「自分は大切な存在、価値ある存在だ」と感じている、ということでしょう。とはいえ、自己肯定感はあくまで心の感覚、感じ方なので、正確にその量を知ることはできません。自己肯定感が低いと感じている方の特徴をあげますと、

必要以上に落ち込む
場合によっては、自分はダメな人間だと感じる (拡大解釈)
「絶対にミスはダメだ」と自分を追い込む   (完ぺき主義)
もしかして嫌われているのでは?       (疑いや不安)
逆ギレする       
          (拒否反応)

など、ご自身の存在を大切にしているか疑問を感じます。
「もう少し楽に考えては?」と思いますが、「自分の価値を認めて欲しい」という心の渇望が表面化したものにも見えます。
では、自己肯定感の高さはどのように決まるのでしょうか?

自己肯定感に影響するのは、遺伝と子供のころの育てられ方

自己肯定感の高さにもっとも大きく影響するのは遺伝的なものと、子供のころの育てられ方です。『成功する子・失敗する子』(ポール・タフ著)には、「生後すぐに親からの愛を受けると自己肯定感が高まる」と書かれています。生後1ヶ月程の間、泣いたときに親からすぐにしっかりとした反応を受けた乳児は、1歳になる頃には、泣いても無視された子供より自立心が強く積極的になるということです。

このように、育てられ方、特にその中でも母親から無条件の愛をたくさん注がれたかどうかが、自己肯定感に最も影響すると言われています。ということは、自己肯定感を高めるには、自分を全て認めることではないでしょうか。人には必ず、良いところ悪いところがあります。まずは何よりも、欠点も含めた、ありのままの自分をそのまま認めるところから始めていただきたいと思います。 過去に辛いことがあったにせよ、そこにとらわれて無駄な時間を浪費するのではなく、より楽しく創造的な現在や未来を生きることを心がけられるように、常日頃から接して頂けたらと思います。

劣等感とコンプレックスの違い

「劣等感」と「コンプレックス」、この二つの言葉に違いがありますか?
と問われる方もいると思います。 “劣等感”は、ただ単に人より劣っているという感情ではなく、その劣っているということに、怒りや悲しみなどの強い感情が、無意識的に結びついていることをいいます。 たとえば、小学校のクラスで、他の全員が解ける算数の問題を、自分ひとりだけが解けなかった場合、とても悲しく辛い思いが「劣等感」です。

片方の“コンプレックス”を調べると、フロイトによると、神話の存在意義を深く考察し、人間の心、特に無意識の世界とのつながりを様々な“コンプレックス”として表現しようと試みており、ユングは、人生の中で起こる様々な事件を、人間の心がどう捉えるかと言うことから、定義づけています。専門家の言う“コンプレックス”という言葉にも、いろいろな意味づけがあります。

コンプレックスが物事が上手くいかない原因ではない

ここで問題にしたいのは定義ではなく、「コンプレックスを理由にしてしまっていませんか?」ということです。つまり、“コンプレックスに感じているものが、物事が上手くいかない原因ではない”ことに気付いてほしいとお伝えしたいです。 ご自身が思っていた理由(コンプレックス)と本当の理由がずいぶんと乖離してしまっている例を何度も見てきました。

「人とうまく話せないから、職場での人間関係が上手くいかない」と思っているある方の話を伺っていた時に「お母さんに否定され続けたこと」が主な原因じゃないかと思えたことがありました。 自分がコンプレックスに感じているものをきちんと見つめてみることは、すごく勇気が要るものです。嫌悪感が出てきますし、怖いものでしょう。しかし、そのコンプレックスが生まれた背景を探っていくことで、それを解消していくことができる場合があります。 この事例の対処方法としては、心の中にいるお母さん像を変えることが必要になると思いますが、その背景、裏側にある心理が重要になってきます。「その勇気をもって頂ける」コンタクトを心がけて頂ければと思います。

榮 俊哉

大学卒業後、予備校に17年間勤務し、チューターという進路指導員を兼務。その後、自動車メーカー連結子会社で、人事制度構築と総務部管理職を経験。そして、介護事業、環境関連企業でISO環境管理責任者を経て、ハローワーク及び若者サポートステーションにて、若年者の就労支援・セミナー講師・企業開拓を行う。その他、大学にて教務・広報職を経験。また、就労支援を行う中でメンタル不調の利用者の方と接する機会に触れ、心理学を大学院等で学んでいる。