「自分らしく働き、生きたい」を支援したい!キャリアコンサルタントの現場から見えること

2019年02月07日 小島 喜美代

国家資格になる前、キャリアコンサルティングというのは就職を決めていくための相談だと 私は思っていました。 相談者は、希望の職種や企業を伝えて、その希望を叶えるための情報を教えてもらう場だと考えていました。しかし、実はそれだけではなく、働くこと全体の支援でした。
そして、キャリアコンサルタントとは、人の人生を左右する場に関わる大変な仕事であると理解し、産業カウンセラーと同年に学び資格取得をして現在従事しています。

キャリアコンサルタントとして相談業務を行う中で、相談者が自分自身と向き合い自らが気づかなかった自分に出会っていくこと、それまで考えてもみなかった自分の可能性を見つけていくことを、私は目の当たりにしてまいりました。
 ここでは実際に相談者がおっしゃった言葉をもとに、キャリアコンサルティングの現場からみえることについて話をしてみようと思います。 (特定の個人を指す話ではありません。)

「誰にも言えなかったが、ようやく話せた」

本当に困っている最中は、当事者はその胸の内を他の人になかなか話せない

悩みや困っていることを話せない理由はさまざまです。例えば、話すと相手にも周りにも迷惑をかけるかもしれない、きっと反対されるだろう、この悩みは自分のわがままなんだ からどうせわかってもらえないだろう、などという思いがあるのではないでしょうか。 本当は誰かにわかってもらいたいのに、それを誰にも言えないのは相当に苦しいことです。我慢しすぎで、胃に穴の開いたという話も聞いたことがあります。 そんな重い肩の荷を下ろすのには、安心して話しができる場が必要です。

キャリアコンサルタントは相談者を尊重して話を伺うため、相談者は話して受け止めてもらえたことで気持ちが軽くなります。その結果、自分のキャリアをどうしていきたいのか、前向きに考えられるようになっていきます。 

実際の相談の場面では、職場でハラスメントを受けた話を聞くことも少なくありません。 相談者は、ハラスメントを受けたと周囲に話すと、自身の職場での立場が不利になるのではないかと恐れます。ハラスメント被害者が非難されている様子がニュースで 流れると、自分もその被害者と同じように言われるのではないかと不安になります。ネガティブな想像ばかりが頭に浮かんでしまい、誰にも話せず苦しいまま、どんどん時間が過ぎていくことになります。

Aさんの転職相談のケース

Aさんは、転職活動についての相談で来室されました。今の仕事を辞めたい理由を尋ねると、途切れがちになりながらも辛かった経験を話し始めました。

人事異動によって上司が代わった際、仕事のやり方についてAさんは意見を言いました。それまでの上司が、部下の意見に耳を傾ける方だったからです。
しかし、その日を境に新しい上司からの嫌がらせが始まりました。仕事中も、何かと相談者が無能であると、上司は執拗に言いました。そしてAさんは精神的に参ってしまい、心療内科に通い始めました。 その通院を知った上司が、Aさんに他の部署の異動を勧めました。Aさんは、その異動を断ることも許されないように感じて応じました。とてもやりがいのある仕事だったので、異動はとても残念だったそうです。

さらにAさんには、やりがいのあったその仕事についてのご経験を伺いました。

幼い頃からその仕事に就きたくて専門課程のある高校を選び学んできたことや、念願の仕事の主軸に選ばれ周りの人にも恵まれて働いてきたこと、そして一生の仕事にしようと思っていたことを Aさんは話されました。しかし、そんな自分が初めて仕事と人格について否定され、その驚きと悲しみで何も考えられなくなったこと、心配させたくなくて 家族にも 言えなかったことなどをお話されました。

一通りお話しされた後のAさん言葉は、次のとおりでした。

「今まで誰にも言えなかった。ようやく話せた。苦しかった。実は誰かに聞いてもらいたかった。」

「ここで話してみて踏ん切りがついた。もう次に進みたい。自分にできることがあるだろうか。」

キャリアコンサルティングは安心して話せる場、守秘義務があります

Aさんのように、誰に話していいのかわからない仕事の悩みを抱えている人のためにキャリアコンサルタントはいます。

例えば、地図も持たず道で迷子になると、自分がどこにいるのか見えなくて不安になります。目的地を探そうとして、焦ってしまい、もがけばもがくほど迷ってしまいます。
そんな時、道案内の人に迷子になった経緯と不安を聞いてもらうと、現在地がわかり気持ちも楽になって、ようやく目指す方向に向き直すことができます。 また、今まで通ってきた道のりを辿っていくことで迷子になった理由が分かり、次に生かせるようになるのです。

働いていると思わぬ出来事が起こりますが、それを自分の働き方の転機として、自分らしい働き方を含めた生き方を決めていかれるプロセスに立ち会ってきました。 その素晴らしさを少しでもお伝えしていきたいと思っています。

小島 喜美代

人財支援ジョイオーラ 現在5校の学校にキャリアの授業を通年担当するとともに、自治体などにおいて新卒・既卒未就職者・転職・再就職・セカンドキャリアの支援に関わり、企業研修講師、国家資格キャリアコンサルタント養成講座専任講師として後続支援も担当する。対象年齢層は、中学生からセカンドキャリアまでと幅広く活動している。意外と熱いタイプと言われることが多い。