大学キャリア教育講師の仕事

2019年02月05日 野浪 晶子

はじめまして。キャリアコンサルタントの野浪(のなみ)です。このような執筆のご依頼は初めて。ドキドキです(汗)

私の現在の仕事は大学の非常勤講師。「キャリアデザイン」「ライフデザイン」といったような科目を担当しています。また、「キャリア教育」という一般的には耳慣れない分野について学びながら、社団法人を借りてキャリア教育の正しい知識について普及・推進しています。こう書くとかっこよく見えるかもしれませんが、単なるフリーランスです。

少しイメージしにくい仕事かもしれませんが、私の仕事を中心に、様々な観点で等身大をお伝えしていこうと思います。初回は私のいまの仕事を概略的にお伝えしますね。どうぞお付き合いくださいませませ。

*追記:記事が公開されて、自分の顔がドーン!とあったのでびっくり&反省…。トップに「ある日の黒板」の写真を入れました。「一歩踏み出せないのはなぜか」「行動を起こすにはどうしたらいいか」というこちらの問いかけに対し、学生たちが話し合った意見を野浪が代筆したものです(無断転載はお控えください)

ある日の黒板

キャリア教育関連授業の大学非常勤講師がメインの仕事

いまは複数の大学でキャリア教育の非常勤講師として仕事をしています。これが本業。また、企業の講師として所属し、委託契約で担当する大学が毎期1大学。近年は合計3大学で授業を担当しています。さらに、毎春、大学生の就職支援としてのキャリアコンサルティングを担当。ここまでが大学生に関わる仕事でしょうか。

それ以外に、一般社団法人をお借りして、キャリア教育を正しく伝えることを目的とした活動をしたり、休日を中心にキャリアコンサルタント資格取得養成講座の講師をしたりしています。仕事量の増減はありますが、これらを複合的に行っている、いわゆるフリーランスです。

一方、プライベートでは、自宅で認知症の母を介護しながら。父が全面的に対応してくれていますが、高齢となってきたため、何かと心配しつつも母のことはお願いしてしまっているという状態。そんなこととも同時並行の毎日です。

いま大変なのは、授業準備

(くどいですが、2018.12.10時点のお話しです)非常勤で仕事をしている大学では、授業スタイルに合わせてテキストを作り、それを指針に授業を進めたり、授業回ごとにスライドを作ったりしています。講師となった最初の5年は提供された教材を使って授業をしましたが、考え方や価値観の違う人が作ったものはやりづらいもの。自分なりにカスタマイズすることも多くありました。

みなさんは、「シラバス」って覚えていますか? 大学の授業スケジュールのことをいいます。現代は1学期15コマが標準です。2018年度は自分でシラバスをたて、毎回の授業内容を考えて講義をする大学が2つになりました。そのうちの1大学ははじめての大学で試行錯誤するため、スライドで対応しています。もう1年やってみて、1年後にテキスト化できたらと考えています。どんな内容を、どのタイミングで、どの順番で伝えるか。すごく悩んでたてたシラバスですが、学生の反応や感想によって柔軟に変えていく必要があるのです。

近年は、「はじめて」の授業ばかり。これが2年目・3年目…となって慣れてくれば、これまで蓄積したスライドをリライトして作ることができますが、「はじめて」だと学生の反応を見ながら調整する必要があります。さらに、そのときの授業テーマに沿った書籍・記事や論文、データがないか検索してスライドに引用していくことが多いのですが、まだまだ時間がかかることも。アウトプットのためには、インプットが欠かせない。そのため、ゆっくりと休む時間がとれない、というのが現状です。

それほどたいした内容ではないのに、「良かった授業・印象に残った授業」に挙げられたかと思えば、練りに練った内容なのに、学生の反応がイマイチだったことも少なくありません。また、 授業の進行や内容に意見・反論もあります。 そういった疑問や反論をそのままにせず、講師に伝えてくれるような関係性を目指して授業づくりをしているつもりです。授業方法やかかわり方は試行錯誤するしかありませんね。

学生の変化や成長に関わることの喜び

ここまでだいぶしんどそうな話で展開してしまいましたが(笑)、日常では学生とのやりとり、変化・成長に関わる楽しさや喜びもあります。授業がきっかけで「できないと最初から諦めずに〇〇に挑戦してみることにした」「自分の変化を感じるようになった」という声をいただくこともあり、素直に嬉しいです。

これまでで一番嬉しかったのは、2年間担当した男子学生が、最後の授業の感想文に「いつも授業後に必ず話しかけてくれてありがとうございました。いつも気にかけてくれて嬉しかった。教わったことを大事に、これから頑張ります」と書いてくれたこと。35名ほどの授業でその学生は いつも一人でいて、「自己肯定感が低い」と ”自分で” 認識している学生でした。

学校に来るのがつらくなりはしないかと気にしていましたが、立場的も時間的にも必要以上に関わることはできない。その代わり、帰りがけにいつもたわいもない話をしていたのです。彼からその感想文を受け取って、そんなふうに受け取ってくれているんだなぁと感じ、嬉しかったのですが、一方で、「(私が)教えたこと」って何だろう…と思うのです。授業内容だけなのか、それともそれ以外もあるのか。そんな思いを感じたその感想文は、いまも大事にとってあります。私の学生支援の原点かもしれません。

“生きづらさ”を抱える学生に、何ができるのか

私は現在の非常勤講師という立場上、学生を長期的に、あるいは手厚く見ることができません。しかし、仮に専任教員になって時間の制約がなくなっても、社会に出るまでに自立させることを目的とする大学教育では、必要以上の関わりは差し控えるべきだと思っています。

…とはいえ、そうとはわかっていても気になる学生もいます。なんとなく大学に来て、授業中にLINEばかりしている学生。授業中に他学生を巻き込んで騒ぐ学生。メンタルヘルスを損なう学生…まだまだたくさんいます。授業がしづらい大学も少なくはありません。

さらに、なんの問題もなく学生生活を送っているように見えても、変化の激しい社会への扉を前に、予想を超えるような不安を抱えていたり、親との関係性に悩んだりしている学生もいます。若いがゆえ?の“生きづらさ”のさなかにいる学生たちに、とりたてて教育について学んだわけではない私に何かできるのか。そんなことを模索しながらの毎日です。

そろそろ紙面が尽きてきたので、今回はここまで。今後は授業期以外は隔週1回ずつ、授業期(4月~7月、9月~1月)は月1回を目標に記事を書いていこうと考えています。

【これからの記事予定】
「いまの仕事に就くまで」「社会人大学院で学ぶということ」「学生支援という仕事」「“キャリア教育”に関すること」…あとは思いつきで(笑) ご感想や「こんなことが知りたい」というご要望がありましたら、ぜひお寄せください。
それでは、また♪

ご注意)本稿を執筆したのは2018.12.10です

野浪 晶子

日本キャリアパスポート協会理事。大学非常勤講師・キャリアコンサルタント資格取得講座講師など。CDA、キャリアコンサルティング技能士2級。法政大学大学院キャリアデザイン学修士。 民間企業人事職を経て現職。大学のキャリア教育実態に悩み、児美川孝一郎教授(法政大学キャリアデザイン学部)の著書『キャリア教育のウソ』を読んだことがきっかけで大学院へ進学。入学後、児美川教授に師事。協会では、誤解の多いキャリア教育を正しく伝えるためのセミナーや、企業研修を担当。私生活では自宅で母を介護。かなりそそっかしい性格。 https://www.career-passport.net/