やさしい社会へのキャリア支援~多文化共生と外国人労働者~

2019年02月05日 大橋 典子

近年コンビニや飲食店など、外国人労働者の姿をよく見かけるようになりました。昨年末改正入管法が国会で可決、人手不足解消などに向け外国人労働者受入れがますます拡大されると考えられます。外国人労働者との共生、キャリア支援は今後重要になってくるテーマ。これから少しご紹介いたします。

「外国人労働者」の受入れ拡大

「外国人労働者の増加」と聞いて、どのような印象をもたれるでしょうか?「治安が悪くなる」「日本人の雇用が悪化する」など、マイナスのイメージを持たれる方も多いと思います。欧米などで発生しているテロや労働関係のニュースを聞く機会があるからかもしれません。しかし移住先に愛着をもち、言語を習得し、新しい環境に馴染もうと一生懸命な方々もいるのも現実です。

移民大国の日本?!

「移民」とは世界的に合意された定義はないとされていますが、国連などでは「出生あるいは市民権のある国の外に12か月以上いる人」としています。現在約146万人(前年比14.2%増)の外国人労働者がおり、経済協力開発機構(OECD)の2015年外国人移住者統計では、日本への移民流入は約39万人、35カ国中第4位。すでに移民大国との指摘もあります。さらに日本政府は今年4月から、5年間で最大34.5万人受入れを検討しています。外国人労働者はいわゆる3K(きつい、危険、汚い)労働に従事しているといわれ、今や日本になくてはならない存在とも考えられています。

日本の受入れ状況

政府は積極的な受け入れ体制を構築しつつありますが、国際経営開発研究所(IMD)発表の世界人材ランキングによると、世界の高度人材が魅力的と感じる国別ランキングでは63カ国中50位。また移民統合政策指数(MIPEX)では38カ国中27位。「労働市場」において職業訓練への参加制限や失業対策を含めた統合政策、および「教育」では移民(親)に対する支援策の不十分さも示されています。さらに国連などからも、職場移動の自由がない技能実習制度は人権侵害問題を生じさせているとして、約10年前から繰り返し指摘されています。

「多文化共生」とは

日本は島国であるゆえ、世界的に珍しい単一民族としての歴史が長いといわれています。しかし多様な文化が交差する状況下、2006年総務省は「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」と定義しました。日本人、生活者としての外国人労働者、そのご家族や子どもたち、ひとりひとりが「ジブンゴト」として日本の未来について考える時期が来ているのではないでしょうか。

キャリアコンサルタントの多文化対応

公的機関、医療・福祉、NPO団体等、翻訳・通訳など、包括的な支援の輪が広がりつつあります。しかし、いきなり知らない場所で相談するというのは、日本人同様、外国人もハードル高く感じてしまうとお聞きします。そのようなとき、国家資格をもつキャリアコンサルタントの出番。アメリカでは、キャリアコンサルティングは「はたらく」についての相談のため、男性も立ち寄りやすい。また身体的・精神的な心配をされている様子が見受けられる場合、リエゾンとして専門家へおつなぎし、早期予防・早期発見・早期解決が可能となるとのこと。特に多文化対応できるキャリアコンサルタントは、文化的背景などを理解しながら寄りそうことができるのです。

真の国際貢献を目指して
魅力ある日本になるためには?

国連が掲げる「持続可能な開発のための2030アジェンダ」のひとつ、「持続可能で、包摂的で持続可能な経済成長、共有された繁栄及び働きがいのある人間らしい仕事のための条件」を実現するためにも、より包括的で人権侵害が生じない制度設計の必要もあるといえます。

みんなにやさしい社会。
外国の方々も生活しやすい、はたらきやすい、そしてみんなで生きていく国家となることで、日本はさらに国際的評価の高い国になっていくことでしょう。社会正義の視点ももつキャリアコンサルタントが橋渡し役になることで、ますます魅力ある国になってゆくお手伝いもできたら、と考えています。

大橋 典子

アメリカの大学卒業(心理学専攻)後、姉妹都市・国際交流事業に携わる。その後、大手自動車関連企業におて社員教育などに従事。結婚・出産をきっかけに専業主婦として約10年過ごしたのち、キャリアコンサルタントを目指す。公益的組織を中心に、外国人労働者、外国につながりをもつ子どもたちへのキャリアカウンセリング・キャリア教育に参画。人生100年時代の「世界中どこでも自分らしくいきる!」社会づくり、海外との交流、学術的貢献にも関心が高い。多文化キャリアコンサルティング代表。